棚卸とラベルで在庫差異を防ぐ
在庫移送では、移転前の数量と保管場所を確定する「在庫凍結」が重要です。入出庫を止める範囲とタイミングを決め、未処理の入荷、ピッキング、返品、棚移動を整理します。そのうえで実地棚卸を行い、WMSの数量と照合します。差異がある在庫を未解決のまま搬出すると、新拠点で原因を特定しにくくなります。
ラベルには品目、数量、現拠点の場所、新拠点の場所、荷姿、移送状態を表示します。箱やパレットごとに識別番号を付け、搬出、積込、到着、受入、格納の各段階で同じ番号を確認します。「移送前」「輸送中」「受入済み」「格納済み」など状態を統一すると、二重計上や確認漏れを防ぎやすくなります。
搬出順は、新拠点での格納順と合わせます。先に使う在庫を車両の奥へ積むと、到着後の荷降ろしが滞ります。積付表と搬入区画を対応させ、到着車両ごとに受入担当を配置します。破損や数量差を見つけた場合は、他の在庫と混ぜず、確認区画へ移して記録します。
ラックや搬送機器の再設置を確認する
ラックやコンベヤなどは、解体前に配置と部材の対応を記録します。支柱、棚板、ビーム、ボルトなどを区画単位でまとめ、識別表示を付けます。小さな部材の紛失は再設置の遅れにつながるため、種類別に容器へ入れ、数量を確認してから搬出します。
新拠点では、図面と実測値の差を確認してから設置を始めます。床の状態、水平、電源位置、作業通路、設備同士の間隔を確認し、組み立て後は緩み、傾き、干渉、非常停止などを点検します。確認が終わる前に在庫を載せると、修正作業が難しくなるため、設備の受入確認と在庫格納を分けて進めます。
作業中は人の通路と車両・搬送機器の動線を分け、立入範囲を表示します。荷役中の死角、荷崩れ、挟まれ、転倒といった危険を工程ごとに洗い出し、朝礼や作業交代時に共有します。天候の変化や車両到着の遅れがあった場合も、無理に工程を詰めず、責任者が順序を組み替えます。
WMSと端末を本番前にテストする
システム移行では、拠点コード、ロケーション、商品、取引先、配送条件、帳票、利用権限などの設定を整理します。新拠点のロケーション番号は、現場の表示とWMSで完全に一致させます。似た文字や長すぎる名称は入力ミスや見間違いの原因になるため、命名規則を統一します。
テストは、受注取込、入荷、棚移動、引当、ピッキング、検品、出荷確定、返品、棚卸まで実際の流れに沿って行います。正常な処理だけでなく、通信が切れた場合、ラベルを再発行する場合、数量が一致しない場合、端末が使えない場合も確認します。プリンタ、ハンディ端末、無線通信、帳票の表示は現場で実機を使って確かめます。
本番切替前には未処理データを整理し、在庫情報の控えを取得します。切替後は少量の入出荷で数量と帳票を確認し、問題がなければ対象を広げます。異常が出たときに前の運用へ戻す条件と手順も用意しておくと、判断が早くなります。